さて歌詞を読んでみれば一目瞭然だ。
♪ さっきまで俺ひとり あんた思い出してたとき
シャイな ハートにルージュの色が ただ浮かぶ
好きにならずにいられない お目にかかれて
今何時 そうねだいたいね
今何時 ちょっと待っててオー
今何時 まだはやい
不思議なものね あんたをみれば 胸さわぎの腰つき
「勝手にシンドバッド」 桑田 佳祐 作詞
Southern all stars – 気分しだいで責めないで
♪ 今にして思い出せば アナタとてもセクシー
水くさいようでいても 忘れられない人
波の背にせに 想い出をはせれば
胸さわぎだけ エイトビートにのせて
おっと待って 今夜はおまつりさわぎ
夢からさめないで そのまま気まま
口先どうりにゃ なれないそうな
せめておとなのふりで
「気分しだいで責めないで」 桑田 佳祐 作詞
「波の背にせ」って何なんだろう?
「波の背の背」なら田端義夫の歌った歴史的名曲「かえり船」の本歌取りだが・・・
今読んでも、文章として文法的に不完全な部分が多く、意味がよくわからない。
ただ、ものすごくスケベな気分だけは伝わってくる。
このスケベな気分は、当時の悶々としていた10代男性の、
猥雑で言葉にはできないようなリビドーとシンクロしたのだ。
これらと、サザンに先行する日本語ロック数曲の歌詞とを比べてみよう。
♪ ろくでなし野郎赤い羽根
ミシンをかついだギタリスト
傘をかぶったベーシスト
おいらは銀河のニヒリスト
海をめくったロックンローラー
時間を書いた小説家
耳からロケット楽天家
あんたはにやけた交差点
「マーラーズ・パーラー」 中村 治雄 作詞
(音楽無しでもシュールな現代詩としてそのまま成立している。)
♪ 俺の身体は黒くて長い
夜になったらぬけだして
手当たりしだいにはいまわる
俺のあだ名は キングスネーク
俺のあだ名は キングスネーク
じめじめ湿った草むらの
小さな秘密のほら穴が
俺の大事なかくれがさ
あきたら他の穴ぐらさがし
俺のあだなは キングスネーク
キングスネーク・ブルース 柴山 俊之 作詞
(一読してわかるように「スネーク」や「ほら穴」は、性的な暗喩のダブルミーニングになってて実にうまい表現だ。)
♪ 閉ざされた町に今日も 夕焼けが
あの空から落ちてきたよ 私の上にも
夕焼け空に腰掛けながら あなたの町を
ながめているとあなたの家は赤く染まり
珍しく丘の上は風も吹かず
川の土手に腐った猫が横たわり
早くお帰り楽しい夢は 終わったはずだと
飛ぶのを忘れた極楽鳥が無理に笑う
「閉ざされた町」 加治木 剛 作詞
(アルバムを通して、閉塞感・終末感に溢れた文学的な表現になっている。)
授業をサボって喫茶店で一服
風呂入って一服 クソして一服
そいでまたベッドで一服♪
朝から晩までスモーキンブギ
朝から晩までスモーキンブギ
「スモーキンブギ」新井 武士 作詞
(コミックソングだが、すべての行が体言止めのちゃんとした詩として成立していて意味がはっきりわかる。)