アメリカ音楽の国宝B.B.キング追悼

ああ、尊敬しているB.B.キングも逝ってしまった。もう25年ぐらい前になるか、中野サンプラザで見たB.B.キングのライブは、今まで僕が見たすべてのアーティストのライブの中で最高のもののひとつでした。魂を揺るがすようなライブでした。

ダイナミクスの魔術師でした。耳を澄まさないと聞こえないすすり泣くような音と、絶叫するように耳をつんざく音でむせび泣くギター、そのダイナミクスの大きさは、リミッターやマキシマイザーで音を潰してあるCD・DVDでのライブでは絶対体験できないものでした。

そして身体の一部になっているかのようなギターの音色の多彩さ、時にはマイクを外して聴衆に歌いかける生声の素晴らしさ。
バックのフルバンドも、BBの声、ギター、一挙一動に合わせて音色やダイナミクスが絶妙に変わるのです。
CDやDVDに刻まれたBBの音源も勿論すごいのですが、魅力の半分以下しか伝えてくれないです。

シングルとして最もヒットしたThe Thrill Is Goneは、コンサートのハイライト曲のひとつでした。CDで聞く音の何十倍も素晴らしい、とても真似のできない音でした。
BBが、自分でギター(ルシール)と語り合いながらプレーしたり、客の一割ぐらいがアメリカ人で、その反応や掛け合い、すべて忘れがたいライブです。

ついこのあいだ、Rolling Stone誌が「史上最も素晴らしいライヴ・アルバム TOP50」を発表しましたが、その中にBBのアルバムが5位と40位に2つも入っています。大衆芸能王国・米国でも国宝級のライブと認識されていたと思います。↓
http://www.amass.jp/55772/

B.B.キングを見て魂を抜かれた次の日に、ブルーノート東京の最前列でアル・ディ・メオラのステージを見ました。
握手までしてもらったのですが、ただただ指速くて正確で巧かったなあということしか覚えてないです(いやディ・メオラも大大好きなんですよ・・)。
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去年、ボビー・ウーマックが亡くなって、高倉健さんが亡くなって、ジョー・コッカーが亡くなって、淋しいことに、リスペクトしていた人たちがどんどん天に召されていきます。今年は、昔よく演奏していた「男が女を愛する時」「スタンド・バイ・ミー」のパーシー・スレッジとベン・E・キングがこの一ヶ月あまりのあいだに相次いで亡くなって、今日B.B.キングの訃報でした。

iPhoneに一万曲ぐらい音源を入れています。愛聴しているものの大半は、故人の音源になってしまいました。

写真は名盤「The JUNGLE」のアナログレコードジャケット。「ライブアットリーガル」もよく聞きました。
日本ではあまり知られていないことですが、BBはフランク・シナトラの大ファンで、シナトラの歌がお休みミュージックだったそうです。
このあいだボブ・ディランが、全曲シナトラのカヴァー・アルバムをリリースしましたね。
B.B.キングとボブ・ディラン(ブルースの王様とフォークの神様)がシナトラファンだった事実は、意外に思われる方が多いのではないでしょうか。