4月28日付け全米アルバムチャートで、ライオネル・リッチーがサプライズの1位。

アメリカ最新アルバムチャート情報を。
2012年4月28日付け全米アルバムチャートは、ライオネル・リッチーのアルバム「タスキーギTuskegee」がサプライズの1位。
ライオネル・リッチーにとっては、26年ぶりの全米アルバム1位獲得ということで話題だ。

1.ライオネル・リッチーLionel Richie – タスキーギTuskegee(129,000)
2.アデルAdele21 – 21 (92,000)
3.ニッキー・ミナージュNicki Minaj – Pink Friday: Roman Reloaded(81,000)
4.モニカMonica – New Life – (69,000)
5.ワン・ダイレクションOne Direction – Up All Night(66,000)
6.ボニー・レイットBonnie Raitt – Slipstream(64,000)
7.ゴティエGotye -Making Mirrors(54,000))
8.アラバマ・シェイクスAlabama Shakes – Boys & Girls(43,000)
9.ラスカル・フラッツRascal Flatts – Changed(41,000)
10.フーディー・アレンHoodie Allen – All American(27,000)

先週13日金曜日の夜CBSテレビは、ラスベガスのMGMグランド・ホテルで行われた
「Lionel Richie & Friends in Concertライオネル・リッチー・アンド・フレンズ・イン・コンサート(4月2日開催)」を放送した。
アルバム「タスキーギ(Tuskegee)」でリッチーとデュエットしたほとんどのカントリー・アーティストが出演し、
またリッチーの養女で、今はリッチーよりも若年層には有名な、
元不良少女・今は、おしゃれ番長人気デザイナーのニコール・リッチーも出演した。
なんと770万人がこの番組を見た。
今週のライオネル・リッチーの1位獲得には、この放送の影響ももちろんあるだろうなあ。

LionelRichieTuskegee

 

発売3週目にして1位を獲り、評判もよく、先週より売上枚数を上げてきたということで、
ライオネル・リッチー「タスキーギTuskegee」は息の長いヒットになりそうな動きとなってきた。

このライオネル・リッチーのニューアルバムについての日本での記事が極めて少ないようなので、
今日はライオネル・リッチーの話を。

リッチーのニューアルバムタイトル「タスキーギTuskegee」は彼が生まれ育ったアラバマ州の町の名前だ。
彼がプロ生活に入ったコモドアーズはタスキーギ大学の学生バンドとしてスタートした。
コモドアーズはファンクバンドとして出発したが、
バラードメーカーとしてのリッチーの才能が開花し、数々のバラードの名曲を残した。

ソロとなってからの1980年代のリッチーは、マイケル・ジャクソンに並ぶようなスーパースターで、
84年ロスアンジェルス五輪の閉会式では、当時代ヒット中の「オール・ナイト・ロング」で
スタジアム全体をディスコにしてしまうような、素晴らしいライブ・パフォーマンスをやった。
あの84年からオリンピックの商業化が始まったのだが、
その「スポーツイベント」のエンターテインメント化という、時代の変わり目を象徴するようなステージだった。

そして翌85年には、ポピュラー音楽史の金字塔USAフォー・アフリカのチャリティー曲「ウィ・アー・ザ・ワールド」を、
マイケル・ジャクソンと共作で作曲。彼の歌のパートからこの曲は始まる。

86年にはセイ・ユー・セイ・ミーでアカデミー賞映画主題歌賞を受賞した。

この当時日本では、とんねるずの石橋貴明がリッチーの顔真似をした「ライオネル・リチ男」というキャラクターが、
受けていたなあ。
この「ライオネル・リチ男」というキャラのせいも少しはあってか、
甘ったるいと言われることもしばしばだったバラードアーティストとしての傑出した才能もあってか、
リッチーは特に日本のブラックミュージックファンからは、
ブラックミュージックテイストの薄い似非的ブラックミュージックアーティストという評価があったように記憶している。

さて、ニューアルバム「タスキーギTuskegee」は、こういう評価に対するリッチーの答えでもある。
このアルバムは、リッチーが自分のヒットナンバーを
カントリーの代表的シンガー達とデュエットカヴァーしたアルバムだ。
デュエットしたナンバーと顔ぶれは以下のとおり。

1. 「You Are」 with Blake Sheltonブレイク・シェルトン
2. 「Say You, Say Me」 with Jason Aldeanジェイソン・アルディーン
3. 「Stuck On You」 with Darius Ruckerダリアス・ラッカー
4. 「Deep River Woman」 with Little Big Townリトルビッグタウン
5. 「My Love」 with Kenny Chesneyケニー・チェズニー
6. 「Dancing On The Ceiling」 with Rascal Flattsラスカル・フラッツ
7. 「Hello」 with Jennifer Nettlesジェニファー・ネトルズ
8. 「Sail On」 with Tim McGrawティム・マックグロー
9. 「Endless Love」with Shania Twainシャナイア・トゥエイン
10. 「Just For You」 with Billy Curringtonビリー・カリントン
11. 「Lady」 with Kenny Rogersケニー・ロジャース
12. 「Easy」 with Willie Nelsonウィリー・ネルソン
13. 「All Nigfht Long」 with Jimmy Buffettジミー・バフェット

このアルバム制作に関してリッチーは、
「僕は、アラバマ州タスキーギで生まれ育ち、小さい頃からブラックミュージックもカントリーミュージックも聞いてきたんだ。
R&Bやカントリーやクラシック音楽などがミックスされ絡み合ったものが僕の音楽でそれは自然なことだったんだ。」
というような主旨の発言をしている。

特定の音楽ジャンルに肩入れするファンは、リッチーのようなアーティストを、
ソウル・ミュージックアーティストでありながら「白人に魂を売った」というような非難をしてきたが、
リッチーは、そういう非難をされること自体が心外で、
こういうR&B(ソウル)とカントリーとの融合するような試みは、自分にとってはあたりまえのことだったんだよってことを言っているのだ。

昔を振り返れば、エルヴィス・プレスリーは子供の頃から黒人達がたくさん周りにいる環境で暮らし、
ブルースやブラックゴスペルを聞いて育ち、黒人文化と白人文化の融合を音楽で成し遂げた。

それと逆の立場で、リッチーは黒人文化と白人文化の融合をこのアルバムでやったわけだ。

コモドアーズ時代の名曲 「スリー・タイムズ・ア・レディー」は、クラシカルなワルツの曲で、
今は、ヨーロッパの白人文化から生まれた社交ダンスの、定番ナンバーとなっている。
カントリー界の大御所であり、アメリカの国民的歌手の一人ケニー・ロジャースに名曲「レイディ」を提供したのは、
1980年のことで、その頃も今も全然リッチーの立ち位置は変わっていない。 

ブッカー・T・ワシントン
切手にもなっている高名な教育者

タスキーギ(Tuskegee)は、ブッカー・T・ワシントンという高名な黒人作家&教育者が、
「白人と黒人の相互和解」を呼びかける穏健で協調的な黒人運動を展開した地だとのことだ。
リッチーがこのアルバム名「タスキーギ(Tuskegee)」に込めたものは、
単に自分の故郷というだけでなく、そういう思いもあったんじゃないだろうか。

 

そういえばリッチーの養女ニコール・リッチーは、白人や黒人やラテン系などの血の入った混血だ。

Lionel Richieライオネルリッチー「エンドレスラブEndless Love ft. Shania Twain(今も美しいシャナイア・トゥエイン)

マドンナMDNAは3週目にして早くもベストテン圏外。ツアーチケットとの抱き合わせ販売で、
むりやり数字を作ったなどとの批判もあって、あまり評判は芳しくないようだ。

先週1位だったニッキー・ミナージュNicki Minaj「 Pink Friday: Roman Reloaded」は先週比69%減の売上枚数で3位。

マドンナニッキー・ミナージュはアーティストパワーがあるので、初動の数字は大きいが、
こういうチャートの動き方は、時代を作るアルバムにはならないってことかもしれない。

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